巨人商事、訴えられる −年棒制と残業代−

 先月退職した山倉さんの代理人から内容証明が届きました。内容は、以下の通りです。「巨人商事では数年前から管理職以外の者にも、賃金の支払いについて年棒制を採用しているが、残業代を一切支払ってもらっていないので、過去2年分の残業代を支払って欲しい」とのことでした。長嶋社長は、年棒制にすれば残業代も含まれると思っていました。支払わなければならないのでしょうか?

[解説]

仕事の実績に応じた給料を支払うため、年棒制を導入している数多くあるようです。その企業の経営者の中には年俸制にすれば、残業代もすべて含まれると勘違いをしている方もいらっしゃいます。

 割増賃金の支払い義務を定めた労働基準法第37条の規定は、管理監督者等の第41条によって適用を除外されたもの以外のすべての労働者に適用があります。

 したがって、山倉さんが、「管理監督者」に該当しない場合については残業代の支払い義務があったことになるので、時効にかかっていない2年分については支払わなければなりません。

 年棒制を採用して、その中に残業代を含めて支払う場合には、毎月支払われる給与の中にどれだけの割増賃金が含まれていることを明確に定めなければなりません。ただし、この方法の場合も、その月に実際に行なわれた時間外労働等の実績により算定した額に不足分が生じれば別途支給しなければなりません。

 

 この残業代の支払いについて、違和感のある経営者の方は数多くいるのではないでしょうか?(能力なない者に限って残業代がかかる。など)

これについては、労働基準法が、残業すれば残業するほど出来高があがり会社にも恩恵があるとする、工場のライン労働者を想定して作られた法律であることから、今日のホワイトカラー労働者には馴染まないからなのです。

 この点については、現在議論されている、管理職一歩手前の労働者に残業代を支払わない「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入が注目されるところです。